はじめに
日本語教師になるために必要な日本語教師養成講座は、日本語学校や通信講座などで受講することができます。ただし、日本語教師養成講座と一口に言っても、その内容は学校や通信講座ごとに違いが表れます。
今回は日本語教師養成講座を選ぶ上でのポイントをご紹介します。
ポイント【1】
目標から逆算する
日本語教師養成講座を選ぶ際、まずは自分目線で考えてみましょう。将来どのようになりたいか、なぜ日本語教師の講座を学ぶのか、目標から逆算していきましょう。
- 日本語に関する知識を得たい
- 地域貢献のためボランティアとして外国人に教えたい
- 海外の教育機関で日本語教師として働きたい
- 日本語教育能力検定試験をパスしたい
- 副業として日本語教師の仕事を持ちたい
- 一線級のプロとして日本語教育の最前線で活躍できる日本語教師になりたい
上記は例でありますが、このように人それぞれ最終的な目標が異なります。その目標を叶えるための学習となりますから、講座はそれを実現できるものでなくてはなりません。
趣味程度、あるいはボランティアなどで日本語を教えたい方は、420時間コースを受講して修了証をもらう必要はないかもしれません。または、420時間コースではなく、通学期間が短く費用も安価な別の講座を受講するという選択肢もあります。
反対に日本語教育能力検定試験をパスしたい方は、検定試験の合格に特化した特別講座を受講することで、試験対策を手厚くすることができます。
日本語教育の最前線で活躍したい方は、理論と実技をバランスよく組み込んだ420時間コースの修了に加え、様々な国の生徒に対し正しい日本語を教えるために、総合的に高レベルな実践能力が必要となります。
講座を選ぶ際には、まず「目標から逆算」して考えましょう。
講師の質
講師の質は良いに越したことはありません。ある程度教わっていれば講師の良し悪しが判断できてきますが、スクールに入る前は困難ですよね。まずはホームページ、パンフレット、口コミなどから情報を集めて、講師に関する情報を探ってみましょう。
日本語教師養成講座にふさわしい講師とは、経験と実績がある日本語教師です。いわゆる"プロ"と呼ばれる人達で、現役の日本語講師であればなお好ましいと言えます。最前線の教育現場で日々留学生相手に教鞭を執っているプロの意見は、そこを目指す方にとっては極めて貴重な参考情報となります。ホームページなどを見て良さそうな講師を見つけたら、そのスクールの授業見学に行き、カウンセリングを受けてみるのも良いでしょう。
また、担任制を取っているスクールである場合は担任との相性も重要になります。中にはどうしても相性が合わないケースもあるでしょうから、そのような場合にクラスを変更できる学校であれば安心できるかもしれません。良い講師に巡り合うことは非常に重要です。生徒一人ひとりをきちんと注視しながら授業を進めていくスタイルの講師であれば、しっかりとしたアドバイスがもらえるでしょう。知識が豊富で教え方が上手いというのは講師なら持っていて当たり前の条件で、それにプラス"人間力"がある方が理想的な講師です。
講師の経歴やコメント等を吟味し、講師の実力を見極めましょう。アルバイト講師が常勤となっているスクールもありますので、講師の質には十分に気を付けたいところです。
講義の内容
同じ420時間コースでもカリキュラムはスクールによって異なってきます。日本語教育の研究者が多い所は理論的な教育に強く、現役の日本語教師が多いところは、日本語教師として活躍するための実践的なカリキュラムが組まれていたり、講師個人の経験が授業に生かされていたりといった特徴が表れてきます。
創立から数十年経過している歴史あるスクールなら、多くの日本語講師を輩出してきた中での、育成のノウハウが蓄積されています。日本語教育能力検定試験の合格率が高いスクールでは、検定試験に特化した講座が充実している可能性が高いと言えます。出来る限り早く日本語教師として活躍したいと考えている方は、演習や模擬授業を重視しているスクールを選ぶと、より効果的に学ぶことができるはずです。座学で学んだことを実践の場で生かし、演習を積み重ねることで場数を踏めます。講師や生徒のフィードバックをもらいながら、試行錯誤して自分のスタイルを作り上げていくことも可能です。
ポイント【2】
サポート体制
担任や講師のきめ細かいフォローによって、学習に対するモチベーションや学習効果が違ってきます。そういった意味で、生徒をしっかりサポートしてくれるスクールであれば安心して通うことができます。加えて就職先のフォローや進路相談といった卒業後の身の振り方に関するサポート体制が充実しているとなお良いですね。
通学スタイル
もし上記の5つのポイントで比較しても、どの講座を選ぶべきか決めかねてしまう場合は、細かい部分で優先順位を付けていくしかありません。
例えば通学スタイルです。学校の立地はもちろん、受講時間、土日や夜間の開講はあるか、授業を休んだ場合に振替で受講できるかなど、通学のしやすさ、受講における負担量などを吟味して考えていきます。
通学期間も重要なファクターとなります。420時間コースであればスクールごとに受講期間が異なりますが、概ね6か月~1年と言ったところです。
目安として、週5日受講し続ければ6か月で講座が終了し修了証がもらえます。その半分、週2~3日あるいは土日のみの受講で1年、週1日の通学ペースでは1年半から2年ほどかかります。
その他
それでも決め手に掛ける場合、最終的には費用で天秤にかける手もあります。420時間コースの場合は、大体50万円から60万円が相場です。ただスクールごとに、教材費や特別講義に別途費用が掛かるケースもあるので、想像以上の差額が生まれることがあります。
また仕事を辞めて講座に通う場合、「教育訓練給付金制度」の対象となっている講座であれば受講費用が還付されます。50万円の講座なら約10万円が還付されるため、この点も判断材料となるはずです。
教育訓練給付金制度の対象となっている講座がある学校の口コミ
ただ費用については、安ければ安いだけ良いというものではなく、逆もまた然りです。費用を計算した上で、それ以外の部分もしっかりと確認した上で比較検討する必要があります。さらに通学の場合はスクールの雰囲気も重要です。やはり一度授業見学に赴き、カウンセリングを受ける中で講師やスタッフ、校内環境の雰囲気を感じ取り、自分に合っている学校かどうか判断されることをおすすめいたします。
まとめ
日本語教師養成講座を選ぶ上でのポイントを紹介しました。自分の目標から逆算して、その目標を達成できる学校がベストです。ただし、検討すべきポイントは複数あるので、目標達成を第一に据え置き、その他の比較材料で的を絞っていきましょう。すぐに日本語教師として働きたいといっても焦りは禁物です。しっかり吟味して、あなたの日本語教師人生の羅針盤となる学校を選択しましょう。