はじめに
2020年日本語教育業界において大きく話題となった日本語教師の「国家資格化」。
今から資格取得を目指したい方々にとっては大いに進捗が気になる内容ですが、あまりニュース等の報道がされておらず概要を掴みにくいといった声をよく聞きます。この記事では、その国家資格化に伴う詳細と今後についてまとめました。
資格取得条件の違いは?
国家資格と聞くと格好は良いですが、資格取得の上ではハードルも格段にあがります。まず、4年制大学を卒業していることが必須になると言われています。そのため、大卒以外の方たちが国家資格制定前の今、養成講座スクールで早めに受講することを検討している方も多いと聞きました。
国家資格制定時の資格取得条件として、以下の3つの条件が定められる予定です。なお、以下の3条件全てをクリアする必要があるようです。
- 国家試験の合格
- 教育実習の履修
- 学士以上の学位
現行の民間資格の内は、以下の3つの条件の内、1つ以上(最終学歴によって異なる)をクリアすることが必要です。
- 日本語教師養成講座420時間の修了
- 日本語教育能力検定試験の合格
- 大学・大学院の日本語教育を専攻し、単位を取得
国家資格制定の理由・目的とは?
なぜ「日本語教師の国家資格化」が検討され始めたかというと、以下の理由が挙げられます。
- 以前より日本語教育のニーズが高く、今後も在留外国人が増える可能性が高い
- 日本語教師が不足している状況が毎年続いている
- 日本語教師の「質」の底上げ、指導技術のばらつきを防ぐ
確かに、上記3点を解決するだけであれば「国家資格化」は急いで制度化する必要性はないかもしれません。もちろん講師・授業の質が高いことに越したことはないですが、緊急性が高い内容ではないようにも思います。
国家資格制定前に資格を取得する必要性は?
- 国家資格に制定されたら、資格を取り直さなければいけないのか
- 現在養成講座を受講しているが、修了したとしても意味がなくなってしまうのか
等多くの不安の声がネット上にもあがっていました。ですが、この懸念点は払拭されるようです。
「公認日本語教師(仮称)」創設後、一定期間(=十分な期間)は現行の日本語教師資格を保有している者は経過措置の対象になる。
=「公認日本語教師(仮称)」創設時点までに、現行の日本語教師資格を保有している者は経過措置の対象つまり、国家資格制度が施行されるまでに、現行の資格取得方法で着手された方々は、経過措置の対象になるということです。
この経過措置の期間に申請手続きをすれば、国家資格へと認定されるようです。このため、特に4年制大学を卒業していない方は民間資格の間に日本語教師の資格を取得し、また大卒以上の方も国家試験の合格に不安がある場合、今の内に資格を取得しておくことをお勧めします。
なぜ、国家資格にならないの?
国家資格化の話が進んでいるにも関わらず、なんと「国家資格化の話が白紙になる恐れ」があると一部報道されていました。「国家資格創設自体」に疑問の声が上がっているようです。
文化庁「国家資格の創設という手段を取る必要性」を疑問視
2020年10月21日に開かれた「日本語教育推進議員連盟第 13回総会」にて、文化庁が見解を示しました。
(日本語教師の資格創設及び日本語教育機関の類型化に関する検討状況 より)
簡単にまとめると、「国家資格化は様々な面から考えても難しいのではないか。」、「既存の資格取得条件で十分ではないか、国家資格化にする必要性が本当にあるのか?」ということを文化庁は述べています。
様々な問題点や懸念事項があるのは事実ですが、国も日本語教育に対して力をいれようとしていることが確かです。もし国家資格化が確実なものとなれば、待遇面等も改善されることもあるかもしれません。あまり悲嘆しすぎることなく動向をみていきたいと思います。
まとめ
日本語教師が国家資格になるのかならないのかによって退職時期や資格取得時期を考える人も多いですが、今の内からできることが意外と多くあります。
ステイホームをしている時間が多い今だからこそ学習を始め、手に職となる資格を一つでも身につけておきたいものです。