目次
はじめに
日本語教師として働きたい。そんな希望を持っている方もたくさんいると思います。では実際に日本語教師の就職先とはどのようなところなのでしょうか?
こちらでは日本語教師として就職する方法、就職先、働き方などを紹介していきます。日本語教師として働くための予備知識を身に着けていきましょう。
日本語教師として就職する方法
日本語教師として就職する場合、一定の給与がもらえる就職先となると、ある条件に適合していることが最低条件となります。その条件とは、「大学の日本語教育専攻(または副専攻)の修了」「日本語教育能力検定試験の合格」「日本語教師養成講座420時間コースの修了」という3つの条件です。
この他にも4年制大学または短期大学の卒業者といった学歴に制限を設けている求人先が多数あります。とりわけ国内の大学では、日本語講師として働く場合、修士または博士課程前期修了者(修士号取得者)に限定しています。日本語教師として活躍できるスキルに加え、一定以上の学歴という要素も加味されるため、就職希望先の求める要件を満たすことは時に困難を極めます。
日本語教師の就職状況
2020年現在、日本語教師の主な就職先は民間の日本語学校となっています。これらの学校には、1コマ単位での給与形態となっている非常勤講師が多数在籍しています。授業のコマ数によって給与が変化するため、収入的に不安定な立場であると言えます。ただし、実績を積んで数年の内に常勤講師となる人も多く、非常勤講師だからといって必ずしも悲観的になる必要はありません。
また、最近では国内ではなく海外で就職先を探す方も多くなってきています。ある日本語教師養成学校の修了生の内訳は、国内が6割、海外が4割です。渡航先は中国などの東アジアが多く、次いでタイ、ベトナム、フィリピンなどの東南アジア諸国です。この二地域で全体の80%を占めているというデータは、海外での就職を考えた場合に非常に重要なポイントとなってきます。
海外の場合、留学生の人数や就職先の数は、日本国内の政治・経済の動向に影響されます。我が国と経済的な繋がりの強い国々は日本語教師のニーズも高く、高望みし過ぎなければかなりの数の求人が見つかるため、チャンスを掴める可能性は決して低くありません。
一括りにアジアと言っても実に様々な国があり、実に様々な就職先があります。それぞれに日本語教師の採用条件は異なり、現地語の習得も必要になるケースが多いため、国内での就職活動と同等以上に、事前の下調べ・準備が重要になります。
日本語教師の働き口
日本語教師として就職する場合の働き口についてご紹介します。
民間企業や大学などの学校法人
まず一つ目は日本語教師の求人に応募して、民間企業や大学などの学校法人に就職する方法です。基本的には、留学生が多くいる場所に就職口が集まる傾向にあります。例えば留学生が多数在籍する大学の近くや、多くの外国人が訪れる政令指定都市や都心などで、民間の語学教室などが教師の募集を行っています。
大学などの教育機関では、留学生の受け入れが積極的な学部では日本語教師のポストを配置し、優秀な人材を集めています。待遇も良く、民間企業よりも経営母体として安定している分、人気を集める傾向にあり競争倍率が高くなります。さらに英語力や研究論文、ボランティア以外の実務経験が求められることもある他、日本語教師としての資質だけでなく、教育者としての資質も求められるなど厳しい選別が待っています。とはいえ、社会的に比較的安定した立場であることに加え、キャリアプラン構築も可能であり、チャレンジに価する就職先であると言えるでしょう。
日本語学校や専門学校
二つ目に、民間の日本語学校や専門学校も有力な就職先となりますが、覚えていて損はないのが"日本語学校の定義"です。
厳密に言うと日本語学校には2種類あります。日本の大学などへの入学を目指す就学生を対象とする「法務省告示校」と、それ以外の語学留学生を対象とする「法務省告示校以外」です。法務省告示校で就職先を探す場合は、四大卒+日本語教師養成420時間講座修了が必要になるなど、採用条件が厳しくなります。
一般企業
就職先として三つ目にあげられるのが、一般企業への就職、あるいは派遣です。これらの就職先に多いのは、その企業が雇っている外国人労働者に対し、日常会話、ビジネス会話、日本式のマナーなどを教えるといったものです。幅広い知識と実務経験が必要なポストとなる分、日本語教師としての給与水準は非常に高いと言えます。ただし、それに比例するように競争倍率も高くなります。
海外に目を向ければ、さらに選択肢は広がります。現地の教育機関や企業など、日本語教育界も益々グローバル化しており、働き口はこれからも多様化していくでしょう。
いろいろな働き方
日本語教師として企業や学校に就職するだけではなく、自分で生徒を見つけて日本語のレッスンを行う人もいます。副職、と言うこともできるかもしれません。ただし楽な仕事ではありません。一対一の個人レッスンが多く、生徒となる外国人と直接契約を結びますので、未払いの発生や、突然レッスンに来なくなるなどのリスクを内包している働き方となります。生徒候補の留学生を見つけたら、その人柄をしっかりと見極めなければなりません。
日本語教師として生計を立てていく、といった観点からは少し離れますが、地域のボランティア教室で日本語のレッスンを行っている方もいます。海外では、青年海外協力隊やシニアボランティア(JICA)として世界各地へ派遣され日本語を教えている方もいます。または、日本語パートナーズの一員として、アセアン諸国での日本文化交流で活躍している日本語教師もいます。
何が何でも日本語教師一本で暮らしていく、という強い拘りがない方であれば、世界中のあらゆる場所に、日本語教師としての能力を発揮するステージは用意されています。
働き方の多様化
今後、世界中で日本語教師のニーズはより高まっていくことが予想されています。その理由の一つに移民の増加があります。日本国内に住む外国人の数は年々増加しています。留学生数は微増ですが、それ以外の外国人は増え続けており、日本企業も大きな戦力として彼らに期待しています。
こうして移民が増えると日本に腰を据えて働く外国人が多くなり、日本語学習者数の増加に伴い日本語教師が活躍できる場面も増えてくると推測できます。日本に長期居住する外国人とその子息達に対して日本語を教えるといった働き方が、今後は益々多くなると予想されます。
まとめ
日本語教師の就職先は、国内にも海外にも多数あります。今後益々増えていくとも予想されています。ただし、その採用条件や就労形態は実に様々であり、あなたの希望とスキルにピッタリ合致する場所となると、選択肢は急激に狭まる可能性があります。大切なことは、あなたの希望を事細かに具体化し、その目標を達成するために何が足りていないのか、期限があるとすればそれまでに何ができるのかをきちんと把握することです。就職活動を行う事前準備として、それらを明示的に整理しておくことが重要になってきます。