日本語教師は給料が低いと良く言われる。
これは噂では無く、本当の事だ。同世代が稼ぐ金額よりも低い。
これには幾つかの理由がある。
今回はその理由、そしてどうすれば給料が上がるか書いていきたいと思う。
私は、教育とは生徒の成長こそが大事だと重々承知している。
その上でこの文章を書いていることを理解していただきたい。
日本語学校のビジネスモデル自体が、儲からない仕組み
日本語学校のビジネスモデル自体が、以下の2つの理由から余り儲からない仕組みになっている。
留学生が支払った金額の10万円は紹介所へのお礼
留学生は自分で学校を選んできているのではなく、大半は留学紹介所を経由して留学(入学している)している。
留学生が、学校に年間支払う金額は約70万円。この70万円が丸々、日本語学校の売上になるわけでは無い。
留学生を紹介してくれた留学紹介所へ、10万円程度お礼として支払っている。
つまり、実際の売上は60万となる。
1クラスの上限が決まっている
1クラスの授業を受ける人数は、法務省の決まりで1クラス20人となっている。
これを守らないと、日本語学校の強みである「留学ビザ」の発行が出来なくなる。
そのため、20名の定員を守らざるを負えない。
つまり、先生が教える人数はいくら年数を重ねても、1クラス20人のまま上がらない。どんなに教えるのが上手くても、さばける人数は20名のままなのだ。
教えるのが上手くなり1クラス25名でも、20名の時と同じクオリティを保てたとしたら給料を1.25倍に増やすことも可能だろう。
しかしながら、法務省の決まりでそれが出来ない。
経営者としては、生み出す価値(この場合は1クラスで教えられる人数)が変わらない限り給料を上げる事はしないだろう。
日本語教師として給料をあげるには
先に書いたように、構造自体がガチガチに固まっているため
日本語教師の給料は、頑張れば上がるような仕組みにはなっていない。
経営者(経営に近い立場)から見た、自分の価値をあげる
日本語教師は留学生に教えたくて、先生になった人が多い。
そのため教えるという行為以外はやらない先生が多く、主任(通常の会社では課長や部長)の言うことを聞かない人が多い。
また事務作業(PCスキルが低い)が苦手な人が多いため、レポート作成などもやらない。
一方、主任たちは「教える」といった仕事よりも事務作業が多い。もしくは「教える」仕事と、事務作業で毎日残業している。
そこで、あなたが主任の事務作業を手伝えば、経営層に近い人間である主任から価値を見出してもらえる。
主任の後釜を狙う
日本語学校の特徴として、人の出入りが非常に激しい。
とくに2017年では、売り手市場のため先生の数が足らない。それに加え、日本語学校が新設されており、主任レベルの先生も足りていない。
そうすると、主任は色々な日本語学校からウチで働かないか?といった誘いを受け、よりよい条件の学校へ移っていく。
自分よりも先輩の先生も辞めるし、主任も辞めてしまうのが現在の日本語学校の現状だ。もちろん、主任レベルになるには、最低でも5年くらいの日本語教師経験は必要になるだろう。
しかしながら、日本語教師として一生働いていくのであれば、「教える」スキルだけではなく、上に気に入られるスキルも身につけておくべきだ。
これは日本語教師に限ったことではなく、一般的なビジネスパーソンにも言えることだが、同僚と同じ事をしていても上に上がれるわけは無い。
他人と同じ事ができるのに加え、自分にしか出来ない事があって初めて価値があると評価される。
この価値というのが、上司や会社・学校によって変わるので、自分のいる環境で何が価値があるとされているか、常日頃考えておく必要がある。
日本語教師として大幅に給料を上げるには
先ほど書いた給料の上げ方は、頑張っても主任レベルの給料なのでそこまで高く無い。480万円~600万円といった具合になるだろう。
もっと思いっきり給料を上げるには、新しい事を創造する必要がある。
例えば、「日本語学校のビジネスモデル自体が、儲からない仕組み」で書いた構造を逆手に取るのだ。
1クラス20名といった概念をすてる
1クラス20名を守るのは、法務省からの通達によるものだ。法務省が「ビザ」の管理をしており、1クラスの定員を守らないと「ビザ」を出せない(正確にはビザの申請をできない)学校になってしまう。
話しを少し変えるが、世界で日本語を学んでいる人数は380万人といわれている。このうち、日本への留学者数は1割にも満たない。
残りの9割を相手にしたビジネスモデルを行うのはどうだろうか?
今は簡単にネット配信が出来る状態だ。
これから説明するシステムであれば200万円もかからずに作成可能だ(ランニングコストは省く)。
それは、東進ハイスクールの様に、既に収録したものをネット経由で閲覧してもらう方法だ。
例えば、380万人のうちの5%がこのサービスを利用したとする。
月に3,000円課金したとすると、 1.9万人×3,000円 =5,700万円 になる。
おそらく、こんなに上手くはいかないだろう。
いかなかったとしても、無料会員等も登録できるようにすれば良い。
見る人が多ければ多いほど、日本語学校の広告を掲載したりすることで、他の日本語学校から広告費が取れる。
また見る人が多いということは、留学紹介所を利用しなくても、自分の日本語学校を知ってもらえることになる。
つまり、紹介お礼費10万円がかからないで、自分の日本語学校へ入学してくれるケースが増えるだろう。
また、自分が名物講師になれば、課金は出来なかっとしても自分のいる日本語学校を選ぶ生徒も出てくるだろう。先生指名で留学生がくるようになれば、給料の交渉もしやすいだろうし、学校側も上げざるを得なくなる。
このようなネットを利用した学習スタイルが確立すれば、先生達の教えるスキルの向上にもなるだろうし、教えるスキルが低いのに大学院を出ているだけで偉そうにしている先生等は淘汰されていくだろう。
学校を巻き込んでの創造が出来ない場合
上記は個人単位で行うことは難しい。それであれば自分で動画を作成し、YoutubeにUPし続けよう。
日本語を学びたい外国人の声が反響として返ってくるので、やる気にもなるし、自分のスキル向上にもつながるだろう。
先にも書いたが、人気の先生になれば、先生指名で学校を選んで来るだろし、スカイプ等を利用したプライベートレッスンも可能になるだろう。
万が一人気講師にもならず、視聴回数も少ない場合でも諦めてはいけない。
何が問題だったのか、その問題を見つけ(仮説を立てて)、解決したものを再度UPし続けよう。いわゆる、PDCAサイクルを回すわけだ。
日本語教師業界で稼ぎたいと思うのであれば、人と同じ事をしていても、そこまで稼ぐことは出来ない。
まとめ
日本語学校で同じ事(クラスに入って教えるだけ)をしていては稼ぐことは難しいが、周りをみればチャンスはゴロゴロと転がっている。
稼ぐことに全神経を集中させてしまうと、「何故教師になったのか?」など自問自答しかねないので、生徒の成長を楽しみながら、自分の成長できる(自分の市場価値をあげられるような)仕組みを考えるのが良いだろう。